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睡眠不足が引き起こす健康リスク ― 「メタボ」との深い関係
睡眠不足の影響は、翌日の眠気やだるさだけにとどまりません。数日続いただけでも、体の中では代謝とホルモンの変化が始まります。
睡眠不足が数日続くと、食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌が減り、逆に食欲を高めるホルモンであるグレリンの分泌が増えます。つまり、体は「もっと食べろ」という方向に傾きます。しかも、このときに欲しくなるのは高脂肪・高糖質のものであることが多く、単に量が増えるだけでなく、内容も悪化しやすいことが知られています。
睡眠不足の状態では、膵臓から出るインスリンのはたらきが現れにくくなります(インスリン抵抗性)。同じ食事をとっても血糖が高くなりやすいということです。実際、不眠症状のある人は、よく眠れている人と比べて糖尿病になるリスクが1.5〜2倍になると報告されています。
血圧についても、本来なら夜間に下がるはずの血圧が高いまま推移する(non-dipper型)という変化が起こります。交感神経の緊張が続き、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌リズムも乱れます。慢性的な睡眠不足のある人では、糖尿病・高血圧に加え、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞といった血管の病気にかかりやすくなることが明らかにされています。
ここに、閉塞性睡眠時無呼吸が加わると、事態はさらに厄介になります。
① 睡眠不足・睡眠の質の低下 → 食欲が増え、代謝が悪化する
② 内臓脂肪・体重が増える → 首まわりや舌の付け根に脂肪がつく
③ 上気道が狭くなり、いびき・無呼吸が悪化する
④ 夜間に何度も低酸素と覚醒がくり返され、睡眠の質がさらに落ちる
⑤ → ①に戻る
この輪は、どこかで断ち切らなければ自然には止まりません。減量が無呼吸を改善することは確かですが、無呼吸で睡眠の質が落ちている状態では、そもそも減量そのものが難しくなります。だからこそ、無呼吸の治療と生活習慣の改善を「どちらか」ではなく「同時に」進めることに意味があります。
このほか、慢性的な睡眠不足は、免疫のはたらきの低下(ワクチン接種後の抗体のつきにくさを含む)、認知機能の低下、注意力の低下による事故のリスク上昇とも関連することが報告されています。近年は、睡眠中に脳の老廃物が洗い流される仕組みが注目されており、睡眠と認知症との関連についても研究が進んでいます。
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