概要

慢性アレルギー性鼻炎は、ダニ・ハウスダスト・ペットの毛・カビなどに反応して一年を通して鼻炎症状が続く病気です。日本人の有病率は約20％とされ、子どもから大人まで幅広く見られます 。

主な症状

• くしゃみ
• 水のような鼻水
• 鼻づまり（夜間・睡眠時に悪化しやすい）
• 鼻水がのどに流れる（後鼻漏）
• 集中力や睡眠の質の低下

放置すると生活の質が下がり、仕事や学業に支障をきたします。

検査と診断

• 問診（症状が出る環境や時期）
• 鼻の診察（腫れや鼻水の性状）
• 血液検査（特異的IgE抗体）で原因を特定
• 皮膚プリックテストで反応を確認

気管支喘息との関係 ― ユナイテッド・エアウェイ概念
アレルギー性鼻炎と喘息は密接に関係しています。研究によれば、鼻炎患者の30〜40％が喘息を合併し 、逆に喘息患者の多くに鼻炎症状が見られます 。
このため「鼻と気管支は一つの連続した気道である」という考えが提唱され、ユナイテッド・エアウェイ概念と呼ばれています 。鼻炎を治療すると喘息も改善しやすくなることが示されており 、両者をあわせて診ることが重要です。

治療

薬物療法

• 抗ヒスタミン薬：くしゃみや鼻水に有効
• 点鼻用ステロイド薬：鼻づまりに特に効果的
• 抗ロイコトリエン薬：鼻づまりが強い場合や喘息合併例に適応

舌下免疫療法（SLIT）
スギ花粉症やダニアレルギーに有効な根本治療。詳細は前述の通りです 。

生活習慣の工夫

• 寝具やカーテンの洗濯
• 掃除機によるダニ・ホコリ対策
• 空気清浄機の活用（寝室に設置する）
• ペットとの接触管理

予後

薬で症状は抑えられますが、自然に完治することは少なく、舌下免疫療法を除けば対症療法が中心です。放置すると睡眠障害や集中力低下に加え、喘息や副鼻腔炎のリスクが高まります。

受診の目安

• 市販薬で十分に効かない
• 鼻づまりが強く睡眠に支障がある
• 一年を通して鼻炎症状が続く
• 喘息や副鼻腔炎を合併している